淀んだ目が輝きを取り戻す~

今日は東京足立区の有料老人ホームで音楽療法。

 

ここのシステムは、参加者は、それぞれが音楽療法参加料を施設に支払っています。

施設側はそれまとめて私(セラピスト)に支払うので、懐は痛みません。

最近、参加される方が増えてきました。

それは、入居するタイミングを狙って、音楽療法を勧めているからです。

最初はお試しで参加し、家族の合意があれば、次からは料金を支払って参加します。

 

参加者がいくら払っているのかは、私は知りません。

 

では、このシステム弊害はなんでしょうか?

それは、参加したくても参加できない人がいるということです。

「音楽は好きなんだけど、息子と話ができないもんだから、私は入っちゃいけないんだって」

と悲しい顔で訴える方がいます。

私にはどうすることもできません。

 

それはさておき、

この施設のメンバーは認知が重く、

そういう方はほとんどが、音楽療法が始まる前は、寝ているか、重くドヨーンとした表情をしています。

顔には生気がなく、話をしても、「わからない」「忘れた」。

それどころか、返事もないひともたくさんいます。

 

Tさんもそんなドヨーンとした一人です。

Tさんは、70代、女性。

2か月前に退院してきたばかりです。

入院するまでは、しっかりしていて、プライドもあり、よく歌を歌っていましたが

最近は、ドヨーン・・・

 

音楽療法が始まり、最初の唄、季節の唄、とすすみます。

それでも、まだドヨーン・・

じゃあ、唄に合わせて少し体操を・・・

あれ??目が開いています。

しかし、まだしっかりと覚醒していません。

 

歌を3曲歌いました。

Tさんは歌いません。

質問をしてみましたが、「だめなの」と言うばかりです。

 

次は楽器活動です。

Tさんには鳴る子を渡しました。

 

私が《東京音頭》を歌います。

それに合わせて徐々にみなさんも歌いだします。

Tさん、太鼓を叩く方につられ、鳴る子を鳴らし始めました。

ニコニコしています。

表情が変わってきました!

 

楽器活動が終わり

私はこの時を逃すまい!と

続けて歌を歌います。

《かもめの水兵さん》です。

Tさんが歌っています!

マイクを向けます。

Tさんの声が良く聞こえます。

 

続いて《砂山》。

Tさんは変わなく歌っています。

歌が終わって、質問をしました。

「この歌はいいですね?」「そうですね」

「佐渡には行ったことありますか?」 「ありません」

「景色が目に浮かびますね」「そうですね」

しっかりと答えることができました。

 

最後には目に光が灯りました。

 

Tさんは、音楽療法が終われば、また、ドヨーンに戻ってしまいます。

でも、いいのです。

一時でも、TさんがTさんらしさを取り戻したのですから・・・