「ラジオ歌謡」

音楽療法のプログラムはたいてい音楽療法士が選曲をしてしまいます。

でも、歌う歌を参加者が選ぶ、というのもいいんじゃないかな、と考えました。

そこで、今回は「歌を選ぶ楽しさ」も目的の一つにしました。

いくつかの曲の中から一つに決める、という作業は

「曲名を見る」「メロディを思いだす」「回想する」「選択する」「他の人にも注目」

ということのほかに、「わくわく」「ドキドキ」のような楽しい気分も味わえます。

選べる人、選べない人、いろいろですが、意外な人が選ぶことができたり、「え~この人がこの曲を選ぶんだ~」という嬉しい驚きがあったりします。

 

選ぶ歌には当然、テーマがあるのが望ましいでしょう。

 

今回は「ラジオ歌謡」の中の曲をセレクトして、参加者に提示しました。

 

「ラジオ歌謡」は昭和21年から37年まで続いた人気番組。この番組で歌われた歌は数えきれないくらいたくさんあります。詳しい曲目はこちらを参考にしてください。http://www.rajiokayou.net/list.html

昭和20年代は、80代70代の方にとって青春の時代です。懐かしい思い出が歌とともに蘇ることでしょう。

 

今回私が選んだ曲は以下の10曲です。

「朝はどこから」「この道」「椰子の実」「山小舎の灯」「さくら貝の歌」「あざみの歌」「白い花の咲く頃」「森の水車」「雪の降る街を」「小さい秋みつけた」

ポイントは1曲ずつ白板に書いていくこと。その時に最初の一節を歌います。ほとんどの方が一緒に歌いだします。それも楽しいひと時ですし、曲の確認ができます。

 

私は人気上位3曲ないし4曲を歌いました。

ちなみに、「山小舎の灯」「さくら貝の唄」「あざみの歌」「白い花の咲く頃」「雪の降る街を」「小さい秋みつけた」が人気がありました。

選ばれた曲はみなさんの大切な気持ちがこもっています。1曲ずつ丁寧に掘り下げてみましょう。

 

歌唱活動

 

  • この道 北原白秋作詞 山田耕筰作曲 昭和2年

北原白秋が北海道を旅行してこの詩ができました。「赤い鳥」に発表したのは大正15年です。その後、山田耕筰が曲をつけたのが昭和2年です。

この歌詞が北海道を表している、と言うと、「へえ」と感心されます。北海道の思い出や時計台のこと、アカシアの花など会話が弾みます。

急に歌うのは難しい歌です。「ああ そうだよ」のところ、部分的に練習してから歌唱しましょう。

 

  • 椰子の実 島崎藤村作詞 大中寅二作曲 昭和11年

海岸に流れ着いた一片の椰子の実にこれほどまでに思いを寄せ、わが身を振り返る藤村の歌詞は本当に素晴らしいと思います。音読してその素晴らしさを感じ合いましょう。

 

  • 山小舎の灯 米山正夫作詞作曲 近江俊郎歌 昭和11年

登山やハイキングが趣味だった方は多くいらっしゃいます。思い出や苦労話をお聞きしましょう。

 

  • さくら貝の歌 土屋花情作詞 八洲秀章作曲 小川静江歌 昭和24年

初恋のはかない想いに溢れている作品です。作詞者は初恋の人を病に亡くし、この詞を書いたそうです。

2番まで歌うと、コーダに入ります。「ああなれど わが想いは儚く~」と言う部分です。ここは最初に説明しメロディを歌ってあげましょう。

 

  • あざみの唄 横井弘作詞 八洲秀章作曲 伊藤久男歌 昭和25年

なぜか男性が好む歌です。男性にとってはあざみのように、ひそやかだが芯のある人が理想なのでしょうか。倍賞千恵子が歌ったことも影響しているかもしれません。

 

  • 白い花の咲く頃 寺尾智沙作詞 田村しげる作曲 岡本敦郎歌 昭和25年

白い花とはなんの花なのでしょう?みなさんで想像してみましょう。

幼なじみと別れてひとり旅立ち故郷を想う、という歌は本当に多いですね。

「まして心の花園に」の部分、声が急に高くなります。歌う前にそこだけ練習するのもいいでしょう。

 

  • 森の水車 清水みのる作詞 米山正夫作曲 高峰秀子(荒井恵子、並木路子)歌

昭和17年

水車と言うのとは少し違いますが、田んぼに水を引く時、足で踏んで水を入れる水車のようなものがあったそうです。すると「そうそう」と同意する人がたくさん現れました。土地によって違うと思いますが、そんな思い出を引き出せた時はみんなが笑顔になります。

 

  • 雪の降る街を 内村直也作詞 中田喜直作曲 高英男歌 昭和24年

雪国育ちの私には「足音だけが追いかけていく」という表現が沁みます。雪は音もなく降り続きますが、あたりの音を全部吸収してしまうので、歩く足音だけが聞こえるんです。

 

  • 小さい秋みつけた サトウハチロー作詞 中田喜直作曲 昭和30年

歌の最後はオクターブ上がって終わりたいですね。

歌った後に秋と言えば?と質問してみましょう。

柿、十五夜、栗などおなじみの答えが返ってきますが、こんな気づきの人もいます。

「夕方日が落ちてから暗くなるまでが早いこと」(秋の日はつるべ落としなどと言いますね)

「朝窓を開けた時の空気の冷たさ」

「富士山がよく見えること」

 

楽器活動

  • 鈴懸の径(Em)

ベルまたはトーンチャイムのオブリガート奏をしましょう。

楽器活動については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。

 


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