『ニルスの国の認知症ケア』備忘録と音楽でできること

『ニルスの国の認知症ケア』を読んでの備忘録。

著者の藤原瑠美さんは2005年から
スウェーデンの高齢者ケアの定点観測を続けています。

 

 

 

 

 

音楽でできること

 

 高齢者ケアの三原則の②

「残存能力、潜在能力の活用」

ここに私たち音楽療法士のできることがたくさんありますね。

音楽療法の目的に自信を持って掲げましょう!!

 

そのためにはどんな方法があるのか、考えてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スウェーデンでは認知症の方でも一人暮らしができます。
一体なぜなのでしょうか?

①住み慣れた家だと、体に染みついた生活のリズムで生きていける安心感がある
  認知症の方にとって混乱やストレスが一番よくない。
  施設に入ると認知症状が進む方は多くいます。

②家族の存在
  仲のいい家族がいて自分を見守ってくれている。
  その視線を感じるだけで、一人でも暮らしていける。


スウェーデンの高齢の方々は
「寂しさを我慢してでも自分らしく生きる価値を知っている」

■日本では
ひとり暮らしをすることの不安感や寂しさに耐えられない高齢者
遠くに住んでいるので一人暮らしをさせられない家族
というところに問題点がありそうです。



ではどのようなケアがあるのでしょうか?

 

オムソーリ古くからある「オムソーリ」という考え方を介護の現場で浸透させた。

「オムソーリ」とは相手を「気づかう」「思いやる」という思想。
■日本語では「おたがいさま」に似たイメージ。

 

 

高齢者ケアの三原則①継続性の尊重
 生活をなるべく変えないようにサポートする。

②残存能力、潜在能力の活用

 過剰なお世話を避け、補助器具や住環境を整えることで
 残された能力をできるだけ引き出す。

③自己決定の尊重

 自分の人生の在り方は高齢者自身が決め、
 周りはそれを尊重する。

■この考え方が日本で浸透したらとてもいいと思います。

優れた訪問サービス看護と介護を一定時間勉強した「アンダーナース」の存在。



◇訪問介護の方針
・短いケアでより多くの人を訪問する(15分ほどの訪問時間)
・できることは本人にやってもらう。過保護な介護からの脱却。
・掃除、選択、調理を訪問介護からの切り離す。(サービスパトロールが行う)

 短い時間でも対話能力が高いので
 訪問したというぬくもりを高齢者の心に残すことができる。



「ケアの質と技術の開発プロジェクト」
政府が149億円/年を2年間支給してケアの質と技術を向上させた!!


◇薬について
 認知症ケア全体で薬が占める割合は多くない。
 薬よりも環境や思いやりのある接し方のほうが大事。
 これは科学的に実証されている。


◇個人情報の共有
 「私の記録」「私の介護ニーズ」という書類がある

「私の記録」
①名前、電話番号
②私はどんな人間か、子どもの頃のこと、人生での大切な経験、感受性、嫌なこと、嗜好(好きな食べ物、嫌いな食べ物、食物アレルギー、好きな音楽、嫌いな音楽
③好きなテレビ・ラジオ番組、購読している新聞、何をするのが好きか・嫌いか
④髪について、肌の手入れについて、お風呂の入り方について、爪の手入れ、お化粧、喫煙
⑤特別な住居にもっていきたいもの
⑥今の家に住み続けられなくなったらどこに住みたいか
⑦呼吸困難になったら 人工呼吸器を使うか使わないか
  食べ物を飲み込めなくなったら 胃瘻を付けるか付けないか、点滴をするかしないか

「私の介護ニーズ」
身体的・精神的機能を維持するために自分で行えること
手助けが必要なことが書かれている

例えば
自分で行えること                               
・8:00に起床(自分で起きられる)                    
・自分で歩いて食堂で食べることを希望(食事介助は不要)     
・服は自分で着られる                            


手助けが必要なこと
・トイレは介助が必要
・部屋の場所を忘れるので連れていってほしい
・ディナーの服を一緒に選んでほしい

就寝や起床時間は個人個人違う
シャワーの時間、食事をどこで食べるか、自分で朝食を準備したいかなど
その人らしい暮らしを大事にしている。

■考えてみれば当たり前ですが、日本では本人の意思や希望は二の次状態です。

日本では「個人情報保護法」が重要視されているために
情報の流出の方に神経質になり過ぎているのではないか?
個人情報の大切さを見直す必要がある。


 

節目の対話
死期が近づいたと思われる時
本人を囲み、家族、医師、看護師、介護スタッフが集まって
その死をそれぞれがどのように支援できるのか、
どんな準備が必要かを話し合う。(QOLを考える)

・認知症で自分の意見が伝えられなくても、病状が重篤でも
 本人が参加する。

根本には病院で亡くなることを避けたいという考え方がある
 病院に送っても生活の質(QOL)は改善されない。

・合意項目
 ①鎮痛剤の有無
 ②飲み物を受け付けなくなった時の対処
 ③輸血をするかしないか

 病院へ搬送するとか、人工呼吸器を必要とするかは、すでに合意項目に入っていない。

■日本では本人ではなく家族が決めるようなシステムになっています。



看取りのチーム(アンダーナースと看護師)
 住み慣れた自宅で最期を迎えたい人の為に
 自宅での臨終期に24時間寄り添ってくれる。



スピリチュアルペイン
 肉体的な痛みは精神的向上で軽くなることもある。



 

スウェーデンから学んだこと医療モデルから生活モデルへの発想の転換

認知症ケアの主役は介護スタッフ
 正しい知識を学ぶ
 いい経験を引き継ぐ
 いいケアの分化の育成